【怪物★アフターストーリー】003 花束を抱えてジュウォンの部屋へ
003.花束を抱えてジュウォンの部屋へ
それからジュウォンはほとんど一睡もできなかった。
あの人は一体、、、何を企んでいるんだ?
仕方ないので、とりあえず住所をメールで送ったが。
一体どうしようと言うんだ?
眠れないので、仕方なく部屋の掃除をしたり、料理を作ったりしてみた。
そうしている間に、朝が過ぎて昼前になり、玄関のベルが鳴った。
なぜか心臓が飛び出そうなほどドキドキしているのが自分でもわかる。
深呼吸してドアを開けると、大きな花束を抱えたドンシクが立っていた。
「お疲れ様です。ハン警部^_^」
「え?、、、コレボクに?」
「ンなわけないでしょ?コレは妹に今買ったんです。ハン警部には墓参りに付き合ってもらおうと思って。」
「…。」
「今日は月命日なんすよ。」
「…。」
「変人の兄貴より、美男の方が妹も喜ぶだろうからね。」
「…でも」
「あ、いま僕なんかがとか言おうと思ったでしょ?」
…図星だ。
「キミと、君のお父さんは関係ないって前にも言っただろ?」
「う…」
「今日キミは、花のように美しい美男として、墓参りに華を添えてくれればいーの!」
「…わかりました。」
そうして、ドンシクがジュウォンの腕をつかもうとした時
「あ、ちょっと待ってください!」
「ん?忘れ物?」
「せっかく天気もいいからお弁当持っていきましょう」
「え?マジ?嬉しいなぁ。母さんも喜ぶよ。」
「あ、お母様も一緒に行くんですね?」
「いいかな?」
「もちろんです!」
ジュウォンは冷蔵庫から作りたての惣菜をあれこれ出してパックに詰め込んだ。
お年寄りが食べやすいように、辛すぎない物や柔らかめのものを多めにチョイス。
ドンシクは、冷蔵庫の中身を見て驚いた。
「凄いな、コレみんなハン警部の彼女の手づくり?!」
「彼女なんていませんよ。自分で作ったんです。」
「え??マジで?」
ドンシクは目を見開いてビックリしている。
「子供の頃から一人暮らしが多かったから、けっこう慣れてるんですよ。」
「ふーん、一人暮らしでもオレとは大違いだな。俺はもっぱらジェイの店で済ましていたから、、、」
そう言いながら素手で摘もうとするドンシクに
「素手はやめてくださいっ!!」
「あ、ゴメン。潔癖症だったっけ?」
「潔癖症じゃありません。綺麗好きなだけです!」
「じやあ、コレ味見♪」と、指差しながらアーンと口を開けるドンシク。
すかさず箸を目の前に置くジュウォン。
その箸には目もくれず、なおも大きな口を開けるドンシク。
大きなため息をつくとジュウォンは白菜キムチで大きなダンゴを作るとドンシクの口にグイッと押し込んだ。
「フゴフゴー!!ウー!!」口の中がいっぱいで何も言葉にならない。
ジュウォンも思わず吹き出してしまった。
「…ゴクン。あー、美味かった✨」
「ホントですか?」
「うん、コッチのなんか子供の頃食った母親の手料理みたい」
ドンシクはいくつかの料理を少しずつ味見した。
「僕の母はマニャン出身だから、ドンシクさんのお母さんと似てる料理があるのかもしれない。」
「でも、小さい頃に別れたんだろ?」
「実は、、、母の知人から、少し前に母の遺品が届いたんです。」
「…。」
「父に見つかると捨ててしまうだろうから、いつか僕に渡そうとずっと大切に持ってくれてて、父が逮捕されたのをテレビで見て届けてくれたんです。」
「母の色々な思いや、僕が子供の頃好きだった料理のレシピを、そのノートに書き残してくれていたんです。」
「そうか、良かったな。。。」
ジュウォンの目には涙が溢れそうになり、ドンシクはそれに気が付いていないふりをした。
004へ続く