【怪物★アナザーストーリー】019.ドンシクの仮説。
019.ドンシクの仮説。
ドンシクはこんな仮説を立てた。
人プラセンタを使った違法な薬品の研究をしていたR T製薬は発覚後に潰れてしまったが、残党によって水面下でその研究は続いていた。
スーパープラセンタを集めるため、未成年の少女を誘き寄せようと、SNSなどを使ってアルバイトと見せかけて誘い出す。
村の外れまで来た少女に、猟犬をけしかけ山の中に誘い込み、たまたま通りかかった様に見せかけて別の車に乗せ転生院に連れ込む。
ジュウォンやチャンスもうんうんと頷きながら聞いている。
なんとかして、施設の中を見る方法はないだろうか?
一同は頭を悩ませていた。
020へつづく
【怪物★アナザーストーリー】018.千里山の夜
018.千里山の夜
そして、ある日の夕暮れ、ドンシクたちは手がかりを探して山の中を歩いていた。
しばらくして、ドンシクたちが暗い山を村へ戻ろうと歩いていると遠くから携帯の画面がチラチラ動いているのが見え、よくみると1人の女の子が息を切らしながら走って来たのだった。
「君〜!こんな夜更けになにしてんの?!」
ドンシクが話しかけると、この近くでアルバイトの面接の約束をしたが、待っている間に狼が追いかけて来て、ここまで逃
げて来たという。
待ち合わせを?なぜこんなところで?
街灯がほとんど無いような村はずれだ。
確かに20分ほど前から、日没のためだんだんと暗くなり、なぜか狼の遠吠えが聞こえだした。
女の子の話では、元々の待ち合わせ場所はもっと明るい場所だったが、狼の姿が見えて、怖くなり逃げて来たのだという。
気がつくと、狼たちはすぐ近くまで来ていた。
低く唸り声をあげて近づいてくる狼たち。5匹はいるだろうか?
もう辺りが暗いので、目だけが光って見える。
ドンシクとジュウォンは女の子を後ろにかばって警棒を伸ばし、狼の方へと身構える。
次の瞬間!襲いかかってくる狼。避けながら警棒を振るが、当たっても暗くて致命傷にはならず、何度も噛みつこうとしてくる。
「うわっ!!」ジュウォンが腕を噛まれた様だ。
「このっ!!」ドンシクが警棒で狼を叩くと「ギャン!!」とひとなきして離れた。
ドンシクは女の子に「君!携帯のライトで狼を照らして!」と指示する。
しかし、次の瞬間。狼たちは急に唸り声を止め、クルリと後ろを向きどこかへ消えていった。
うずくまるジュウォン。
ライトで照らすと、ジュウォンは右腕を噛まれて血を流していた。
「ちょっと待ってろ」ドンシクはハンカチを出してジュウォンの腕をギュッと縛った。
「とりあえず止血だけだ。君は大丈夫だったかい?!
「はい。ありがとうございました。」女の子は怖くてまだ震えている。
ドンシクは、村人聞き込みをしていたチャンスに連絡して車を回してもらい、女の子を警察署へ送り届けると、ジュウォンを病院へ連れて行く。
幸い深い傷ではなかったが、、、医師の話では「大韓民国に狼なんて、、、50年も前にもう絶滅していませんよ。きっと猟犬でしょう。」との事だった。
女の子と待ち合わせた人物は結局現れず、その後、アルバイトのサイトもいくら探しても見つからなかった。
ーーーーー
次の日、さらなる聞き込みや、山の周りの防犯カメラをチェックすると、この辺りに月に1回から2回ほど、数匹の猟犬を乗せた黒い四駆車が山に狩りに来ているのが分かった。
運転手の顔はサングラスやマスクでほとんどわからない。
※転生院のガレージにあった四駆は白や緑など明るい色ばかりで黒ではなかったが。
村人が狼と思い込んでいたのは、医師の話通り猟犬だったようだ。
ドンシクたちも、村人の話からすっかり狼が出たのだと思い込んでいた。
(オオカミというのは、ひょっとすると、人を寄せ付けないために教団が流したデマだった可能性もあるが、、、。)
そして、黒の四駆車のナンバーを照会してみたが、偽造されたもので、持ち主は分からなかった。
019へつづく
【怪物★アナザーストーリー】017.スターゲイザーからの報告
017.スターゲイザーからの報告
1週間後、スターゲイザーから連絡が入り、保護者代表と一緒に報告書を受け取る。
見てみると、やはり、依頼した9人中8人が失踪前に千里山付近で最後にカメラに写っていたことになる。
防犯カメラなどは提供がない限り見ることができないので、ここからはドンシクたちの出番だった。
スターゲイザーで得た情報を元に、保護者代表に警察に届を出してもらう。1人1人では家出人として調べてももらえないが、9人まとめてとなると捜査せざるをえない。
ドンシクとジュウォンには渡りに船だった。
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会議の後、アン・チャンスはぼやく。
「あー、新人が入ってくると喜んでいたら、変な仕事抱え込んできたとは😂 もう〜!仕事増やすなよー!」
「スミマセン…」とジュウォン。
「まあまあ、そう言わずにぃ」ドンシクがフォローする。
「しかし、ドンシクさんと、チャミスルは、なんだか昔からの知り合いみたいに、息が合ってるじゃん?」
「チャミスルって…?」
「ソ・ジュウォンだからチャミスル(焼酎)がニックネームでピッタリだろ? あ、もしかしてJINRO派?」
「やめてください!😅」
「じゃあ、チャミーにしよう!チャンミ(薔薇)みたいにかわいいからチャミー」
「先輩!!💢」
「お前ら、無駄話はそれくらいにしろ、今日から調査開始だ!」チーフ(班長)は呆れながらうながす。
018へ続く
韓国映画:アイキャン・スピークをみました。
アイ・キャン・スピーク(2017年製作の映画)
아이 캔 스피크/I Can Speak
監督
出演者
『アイ・キャン・スピーク』(朝鮮語: 아이 캔 스피크)は、2017年公開の大韓民国(韓国)のドラマ映画である。
2007年のアメリカ合衆国下院121号決議採択前、公聴会で李容洙が証言したことに着想を得て制作されたものである[3][4][5]。
【怪物★アナザーストーリー】016.ショットバー「茶色の小瓶」で
016.ショットバー「茶色の小瓶」で
ドンシクがジュウォンを帰りに連れて来たのは、裏通りの小さなバー「茶色の小瓶」。
看板の明かりも弱々しく、空いてるのかどうか覗き込まなきゃ分からない程だ。
ドアを開けると♪カランカランと懐かしいような音がした。
中に入ると、意外と清掃も行き届いていて、ジュウォンは少しホッとした。(潔癖症だからね😅)
カウンター7席と、4人掛けのテーブルが3つほどしかない。
ドンシクは誰もいないカウンターに座り、ジュウォンを横にすわらせる。
マスターに「俺はいつもの。こっちは誕生日だから、なんか特別なのを作ってやって」
「OK」マスターは目配せしてフルーツを探し始める
「え?どうして誕生日だって知ってたんですか?」驚くジュウォン。
「ばかだな。パートナーの事はそれくらい知ってて当たり前。それどころか、今日のブリーフの色だって…」
「ストップ!そこまででいいです💢」
マスターがこちらに話しかける 「じゃ始めますよ?」
急に店内の照明が薄暗くなって、カウンターにスポットライトが当たる。
すると、他の客席から待ってました!と拍手があがる。
キョトンとしているジュウォン。
すると、軽快な音楽がスタート!周りの客から手拍子が始まり、その音に合わせるように、マスターがボトルやシェイカーをジャグリングみたいに回したり高く飛ばしたりしだし
ドンシクは、「ここのマスター、実は過去にフレアバーテンディングの大会で、色々な賞を貰ってる人なんだぜ」棚にはトロフィーや盾も並んでいる。
ジュウォンはマスターの動きに目が釘付けだ。
オレンジやレモンが真っ二つになったと思ったら果汁が絞り出されて、苺も手品のようにカットされていく。一体何が出来るのか見当もつかない。
次々と何かがシェイカーに入れられて氷と攪拌されるシャカシャカという音が響く。
ジュウォンとドンシクも知らない間に音楽にあわせて手拍子しながらマスターの動きに魅入っている。
マスターは4つのシェイカーを空中に放り上げ、取っては投げ取ってはなげる。
そして、そのシェイカーから、大きめのグラスにオレンジ色、赤色、黄色、水色のシャーベット状の液体が注がれ、グラスに虹色の層が出来た。
完成か?と思った時、パッと照明が消えて真っ暗に。
次の瞬間、ウイスキーを注いだ銀色のピッチャーに青い炎があがった。
ピッチャーからピッチャーへと炎が移動して、最後に高く掲げられた青い炎が、先ほどの虹色のグラスに注がれ、まるでグラスから火柱が上がっているようだ!
(※これは、フレアバーテンディングの父、ジェリー・トーマスが産んだ“ブルーブレイザー”という技だ。)
一同大拍手!!
炎が消え、一瞬真っ暗になって、次に灯りがついた時には、虹色のグラスに氷と❤️型にカットされた苺が配置され、美しいカクテルが完成した。
マスターは「どうぞ!カクテルの名前は“雨上がりの虹🌈”です。」
マスターや周りの客に拍手されながら、ジュウォンは出来立ての特別なカクテルを飲んだ。
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帰り道。ジュウォンはフラフラと歩きながら「今日は、ありがとうございました。」と、つぶやく。
目はとろんとして、ドンシクのひじのあたりをつまんで歩いている
あのカクテルはパステルカラーで、ライトな飲み物に見えて、結構アルコールがたくさん入っているからヘビーだ。
その後、気をよくしてその他にも何杯もカクテルを飲んだせいもある。
「こんな楽しい誕生日は初めてでした。プラネタリウムも素敵だったし。フレアバーテンディングもすごかったし」
「そっか…これからはもっと楽しい事がいっぱいあるよ。」
「そうでしょうか?」口を尖らせるジュウォン
「ああ、おれが保証するよ。」
「あはは、そんな事言っていいんですか? 責任取れるんですか?」ふらついて倒れそうになる。
「なんでもいいけど、部屋まで寝るなよ?!おまえ重いんだからな!!」
石畳に映る2人の影も楽しげに揺れていた。
017へ続く
【怪物★アナザーストーリー】015.プラネタリウム
015.プラネタリウム
そんなある日、ジュウォンは、プラネタリウムのチラシを持って来た。
「今度、コレいきませんか?」
「なんだ?コレ?プラネタリウム?」
「子供っぽいっていうかもしれないけど、、、」
「あー!コレ最近できた‘’大韓民国最大級のアートプラネタリウム‘’だろ?」
「あれ?知ってたんですか?」
「知ってたも何も、俺結構プラネタリウム好きだったんだよ。子供の頃は親父とよく行ったなぁ。」
「そうなんですね…」
「おかげで、その頃は科学の成績も良かった。科学クラブも入っていたんだ。」
「ここのプラネタリウムは、普通のプラネタリウムだけじゃなく、プロジェクションマッピング の技法を取り入れて、自分が宇宙飛行士になった気分で宇宙の景色が見えたり、海の中へ潜って行ったりと映像や音楽も楽しめるのがウリなんですよ!」
「そうらしいな^_^ じゃあ明日、早く仕事が終わったら夜行こう。」
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仕事が終わり、サブウェイで軽食を済ませた後、アートプラネタリウムへ向かう。
「大人2人」とチケット売り場の窓口へ話しかけると、窓口の係員はチラッと2人を見ると
「はい、60000ウォンです。」
と、チケットを渡した。
ドンシクは、係員の視線が少し気になったが、ジュウォンはお構いなしだ。
「実は僕、プラネタリウムって、、、子供の頃に父と一回しか行ったことなかったんです。父はいつも多忙でしたから。」ジュウォンはチケットを持って嬉しそうだ。
映画館のようにコーラとポップコーン片手に中へ入ると、もう中は薄暗い。
目が慣れて来て気がつくと、周りはいちゃつくカップルばかりではないか?😅
それもそのはず、後で気がついたのだが、夜間の営業はカップルシートのみの販売になっていて、ほぼ100%が、カップル!
そのため、自分たちは受付嬢に男性カップルだとおもわれたようだ。
フカフカのシートに座り、ポップコーンを食べていると、程なくしてアナウンスが流れ、辺りが暗くなる。
「もうすぐ始まりますよ!」ジュウォンは目をキラキラさせている。
「…ああ。」ドンシクはジュウォンの楽しそうな顔を見ていたら、たまにはこういう所に連れて来てやるのも悪くないなと思った。
初めはプロジェクションマッピング からだ。フカフカのシートに寝ているのでプラネタリウムの天球が自分の足元から頭まで広がっている。
体全体がすっぽりと映像に包まれる体感型映像がここのウリなのだ。
もちろん音響も8方向から聞こえてくるので立体的に感じる。
やがて、真っ暗な中に一輪の花びらが現れて舞い落ちる。
その花びらがどんどん増えて行ったと思ったら、闇の中に大きな一本の大きなしだれ桜の木が浮かび上がり、まるで自分がハチになったかのように、その枝の間をすり抜ける。
桜の花から今度は菜の花へ移動する。眼下に広がる黄色い絨毯が眩しい。凄い勢いで菜の花畑の中を駆け抜ける。
やがて、視界は黄色から淡いブルーへ変化していく、、、ネモフィラ畑だ。
花びらスレスレに飛んでいたとおもったらネモフィラ畑から舞台は一気に碧い海の中へ。
極彩色の深海生物たちがお出迎えだ。体の色を七色に変化させ、ウミヘビやカニに擬態するタコや、まるでレースのカーテンのようなヒラヒラをくねらす紫色のミカドウミウシ。
煌めくイワシの大群が通り過ぎると、今度は自分たちは小さなは魚になり、イソギンチャクの群れの間をわたり泳ぐ。
体に絡みついてくるイソギンチャクの半透明の触手をリアルに感じるようだ。
やがて、イルカの群れに合流し、大海原を滑るようにジャンプしながら泳ぐ。
すると知らない間に、大海原は漆黒の宇宙に変わり、自分はスペースシャトルの外を眺める宇宙飛行士になっていた。
シャトルのハッチをゆっくりと開けて、外へ飛び出す。すると、数えきれないほどの美しい星たちが目の前に散らばって、、、どんどん星の世界へ飲み込まれていく。。。
気がつくと、知らぬ間にプロジェクションは終わり、後半のプラネタリウムが始まっていたようだ。
ゆったりとした音楽が流れ、低い声で星座の解説が始まる。
緊張がほぐれたのか、急に喉が渇いて来て、手元のコーラに手を伸ばす。
コーラだと思ってつかんだのはジュウォンの手だった。
お互いぎくりとして手を引っ込める。
ジュウォンは平静を装って星空を見上げているが、耳が熱くなり、星の説明は全く耳に入ってこなかった。
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帰り際、2人は意外な人物にあった。
ドンシクの中学の同級生だ。
「おい、ドンシクじゃないか?」話しかけて来たのは向こうだった。
「ん、あ?お前は…」見覚えのある顔だ。
「ソ・ジホ。科学クラブで一緒だった。」と笑顔を見せる。
確か、頭のいい生徒で、美術も得意だった。科学クラブで1番女の子にモテていた、、、
「あー、覚えてるよ。たしか、いつも学年トップだったよな」
「はは、いつもではなかったけどね。こんなとこで会うなんて奇遇だな、一杯のまないか?」
「あー、悪い。今日は連れがいるから。また今度」ドンシクは、隣をチラリと見る。
ジュウォンは、不機嫌そうにジホを見ている。
「へぇ、、、あのドンシクが、そっちの人になるとは意外だな。」と、ジュウォンをチラリと見る。ソ・ジホにもカップルだと勘違いされたようだ。
「あ、僕はただの仕事のパートナーです。」と、慌てて否定するジュウォン。
「ただの、仕事のパートナーと来る所じゃないんだけどぉ、、、まあ、また今度ゆっくり話そうぜ。」
と、ジホは2人に名刺を差し出した。
…ディメンション・ワールド代表?
「ひょっとして、今日のプロジェクションマッピングの? 」ジュウォンが急に話に入って来た。
「めちゃくちゃ素敵でした!!もう、別世界にいるみたいで!!感動しました!」
「そう?嬉しいな。前半の映像と音響部分を担当しているのがウチなんだよ。そんなに喜んで貰えて光栄だよ。、、、2人には特別に年間パスポートをあげるよ」
そういうと、金色のカードを2枚差し出した。
「初めて使った日から、席さえ空いていれば、1年間何度でも入れるパスポートだよ。」
ジュウォンは飛び上がりそうなほど喜んでいる。
「ジホや、ありがとう。今度時間がある時連絡するよ」ドンシクはジホに手を振った。
016へつづく