【怪物★アナザーストーリー】008 新たなスタート
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008.新たなスタート
…2ヶ月後。
ドンシクは強力班のデスクで山積みの書類と格闘していた。
「全く、猫の手も借りたいくらいだよ。💦」
最近の新人と比べるとタイピングのスピードも遅い。
「大韓民国、もっとペーパーレス化してくんなきゃ、SDGs な国になれないぜ💢」
思わず愚痴が出てしまう。
「張り込みしてる間は、事務処理出来ないからどうしても貯まっちゃいますよね😭」と後輩のアン・チャンスが言う。
「おい、俺の前でタバコ吸うなって言ってんだろ?💢」
「スミマセン。ドンシクさんも吸ったらいいじゃないですか?!」
「チリも積もれば山となる。千里の道も一歩からだ!」ドンシクの口癖がでた。
「確かに、タバコ吸う金を貯金してたら、俺も今頃いい車乗ってるだろうからなぁ〜」
「そう言う事。」
「でも、ドンシクさん、土地もいっぱい持ってるし(全部貰い物だけど)、いつも地味なカッコしてるけど、そんなにお金貯めてどうするんですか?」
「俺のことはいいから、仕事しろ!💢」
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ドンシクは周りにはナイショで、貯めたお金を毎年「スターゲイザー」という行方不明者捜索財団に寄付しているのだ。
近年多発する人身売買や臓器売買などを目的とした失踪、監禁、誘拐を未然に防ごうという考えだ。
仕組みは簡単だ。SNSなどに溢れる膨大な量の写真データと映像データを日々解析する。もちろん人の目では無理なので、Google MAP、Google Photoなどに使われるオープンソースになっている知覚アルゴリズム(画像解析AI)の力を借りている。※1
(Googleマップや、Google Earthで、人の顔を検出してボカシをかけている仕組みだと思えば簡単だ。)
スターゲイザーでは、24時間人探しだけをしてくれるスーパーコンピュータを設置、運営するのに寄付を募っているのだ。
ドンシクは、妹ユヨンを探す過程でこの組織が某国に存在するのを知って、同じ様に家族を探している投資家たちに話を持ちかけて韓国に支部を置く橋渡しをしたのだ。
とは言っても、ドンシクには警察官としての仕事があるので、そっちは専門家たちに任せている。
パソコンの知識もないし…。
しかし、スターゲイザーに人探し依頼を登録した人の約6%ほどは、1週間以内に見つかるなど、一定の効果はあげているのが凄いところだ。
(警察の捜査もそれぐらい簡単に済むといいのだが、今のところアナログがほとんどだ。。。)
スターゲイザー自体には事件を解決する事は出来ないので、失踪者を見つけた場合には登録した家族に連絡するのみにとどまるが、、、。
登録者の身元確認はかなり慎重にしているようだ。
そうしないとストーカーに悪用されかねない。
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話が横道に逸れてしまったが、そんな事で警察はアナログな仕事が多い上に危険も伴うため、公務員なのに人気も低く、いつも人手不足なのだ。
人員の補充をかけていても、いつになったら新人が入ってくるのか検討もつかない。
もっとも、ズブの素人に来られても足を引っ張られるだけだから、いない方がマシと言う場合もあるが、、、。
その時、アン・チャンスがはたと思い出した様に顔を上げた。
「あ!そう言えば!」
「なんだよ、やぶからぼうに。」とドンシク。
「忙しくて忘れてたけど、1人補充が来るって話を聞きましたよ!」
「この時期に?」
「なんでも少年課から急に移動になるとか」
「おいおい、未成年に手を出して飛ばされてくるんじゃないだろうな?」と笑う。
「名前は確か、、、ソ、、、」
「ソ?」
「ソ・ジュ、、、」
「焼酎(ソジュ)??」
その時、部屋のドアが開き、入って来たのはジュウォンだった。
「ジュウォナ?」ドンシクは思わず立ち上がった。
「あ、思い出した。ソ・ジュウォン!」と、アン・チャンスが叫んだ。
009へ続く