【怪物★アナザーストーリー】026ジホからのプレゼント
026ジホからのプレゼント
1ヶ月後、ドンシクとジホは、また「茶色の小瓶」に来ていた。
「随分と待たせたな。大活躍してくれたのになかなか時間が取れなくてね。あの時は助かったよ」とドンシク。
「助かったのはこっちの方だよ。あの一件のお陰で、会社は新しく融資を受けることも出来て、「五感を刺激するイベント」の話ももう3年後までいっぱいだよ!」
「そりゃ本当か?」とドンシク。
「しかも、来月からは映画「恋に落ちた消防士」の公開イベントで、火事を消すバーチャルイベントもまかされてるんだからさ。」
「じゃ、主演のシン・ハギュンのサインもらってきてくれよ。母さんがファンなんだよ。」
「わかったよ^_^ しかし、あの時、色々根回ししてくれたお陰で助かったよ。何件も本当の山火事だと思って消防に連絡が入ったそうだからね。それで、映画のスタッフからイベントの話が来たんだ。」
「ははは、そりやそうだよ。近くで見てても、本物にしか見えなかったからね」
ドンシクは、マスターにも「そう言えば、マスターのおかげでもあるんだった。」と言った。
「何のことです?」
「マスターの炎のカクテルがなかったら、こんな偽物の山火事を起こそうなんてアイデア浮かばなかったかもしれないからね。」
そう言って、ジホにもブルー・ブレイザーを注文した。
遅れて来たジュウォンが、炎が上がっている途中からドアを開けて入ってくる。「あー!ひどいな僕も見たかったのに」と口をとがらす。
「でも、今回の事件が解決したのは、この2人の魔法使いのおかげですね!」とマスターとジホを指差した。
それからはまた、昔の話に花を咲かせたり、マスターにフレアをおねだりしたりしながら、3人で飲んでいたが、ふとジホが
「そう言えば、君の名前ソ・ジュウォンって言ったけど、 ひょっとして君もマニャンの出身?」と聞いた。
「いえ、僕は違うんですが母がマニャンで、母の実家はオイル建設っていう会社だったみたいです。」
「やっぱり! 、、、俺と君は従兄弟じゃないかな」とジホ
「本当ですか?」
「ソ姓は非常に少ないって聞いていたから、どっかで繋がりがあるかもって思っていたけど、、、父からは祖父がやっていた会社が、、、たしかオイル建設と聞いているよ。 父は祖父とは仲が悪く、成人して直ぐに縁を切って家を出てしまったんだがね。」
「世間は狭いねぇ。俺のクラスメイトは、同僚の従兄弟だったとは、、、」ドンシクもびっくりしている.
ジュウォンはジホに父親の事を話し、今までのいきさつをかいつまんで話した。
ジホは「そうか、、、まあ、お互い色々あったけど、こうして従兄弟同士出会ったのも何かの縁だろう。これからも仲良くやろうぜ。」と、ジュウォンの肩を叩いた
「これからは、兄貴(ヒョン)って呼ばせて貰いますね。兄貴!」
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帰り際、ジホは9枚の封筒を出した。
ジュウォンに、「この前助かった9人の女の子達に一つづつ渡してくれ。プレゼントだよ。」
「これ、なんですか?」
「君にあげたのと同じ、アート・プラネタリウムの年間パスポートが2枚ずつ入ってる。色々大変な目にあったそうだから、少しでも心の癒しになったらと思ってね。大したことはしてあげられないけど、、、。イベントにも連れてきてこのカードを見せてくれれば、VIP対応するよ。」
「わぁ!ありがとうございます!きっと喜びます!!」
ジュウォンにとっては、肉親であるジホの存在そのものがプレゼントのようであった。
ドンシクとジュウォンはジホに手を振りそれぞれの家路に着いた。
027へつづく